聖書が語る家族の物語2019年05月05日

イサクはエサウを愛していた。それは彼が猟の獲物を好んでいたからである。リベカはヤコブを愛していた。           創世記 25章28節       

 前回は「水面下を見る」、つまり表面的には見えない、家族から引き継いだ性質や性格を知ることについて学びました。「水面下を見る」ための一つの方法として、聖書が語る家族の物語から、家族から受ける影響の大きさと、一人一人の人生に何をもたらすのかを学ぶことができます。創世記11章から50章まで、アブラハム、イサク、ヤコブの3世代に渡る家系のストーリーが書かれています。それらを注意深く読んでいくと、家族の中に引き継がれる性質と、繰り返してしまう過ちについて知ることができます。3世代に渡って繰り返す性質のうちの一つは、「嘘」をつくということです。アブラハムは自分の妻を妹だと偽り(実際には異母妹なので、彼はその様に言い訳をしますが)、イサクも父と同じような行動を取ることになります。ヤコブは(母リベカの入れ知恵でしたが)自分をエサウだと偽り、目の見えないイサクから長子としての祝福の祈りを受け取ります。そして、子どもに対する偏愛も3世代に渡って引き継ぎ、繰り返される性質でした。アブラハムは約束の子であるイサクを特別に扱い、イサクはエサウを愛し、ヤコブはラケルの子どもであるヨセフとベニヤミンを特別に愛します。これらの性質は家族にいくつものトラブルや別離を持ち込むことになります。
 しかし、創世記で語られる3世代の家族は神さまへの信仰を継承し、その信仰から祝福を得ていくこと。そして、たとえ失敗や過ちがあったとしても、神さまがそれを益と変えて下さることを私たちは学ぶことができます。父ヤコブの偏愛から始まったヨセフの苦難の生涯ですが、父ヤコブが亡くなった後に兄弟達に語った言葉は「あなたがたは、私に悪を計りましたが、神はそれを、良いことのための計らいとなさいました。」(創世記50章20節)でした。家族から受ける影響、引き継いだ性質や性格を受け止めながら、信仰を通して神さまから頂くことのできる祝福に目をとめて歩ませて頂きましょう。(笠川路人)