怒りに対する理解を深める(2)2019年03月31日

しかし今は、あなたがたも、すべてこれらのこと、すなわち、怒り、憤り、悪意、そしり、あなたがたの口から出る恥ずべきことばを、捨ててしまいなさい。                 コロサイ人への手紙 3章8節                                    
 前回「怒り」は神さまのご性質の一つであることを学びました。今回は「怒り」という感情について、さらに理解を深めていきます。まず初めに「怒り」は感情の表れであり、手段でもあり、外向きにも内向きにも表れることを知ることが大切です。分かりやすい例で言うと、怒りは叱責や非難のような「ことば」を通して表現され、時には暴力的行為のような行動に表れることがあります。律法主義や厳しさ、批判といった態度の背後にも怒りが存在することがあります。内向きの怒りとして人の心の中に押し込められる怒りの感情は、冷笑的態度や自己卑下、無視、無関心といった問題を生み出し、更には心と身体に大きなストレスを与えることがあります。激しい怒りの感情に触れる時に、私たちは動揺してしまうことが多くありますが、怒りから生み出されることばや行動そのものを見るのではなく、その怒りの背後に何があるのかを考えることが重要です。通常、怒りは4つのもの(目的、価値、期待、自尊心)を侵害される時に発生します。怒りとはこれら4つを侵害されたことによって起こる感情の表れであり、その結果は相手に対する敵意や攻撃的な発言、復讐したいという思いが出てくるものです。
 リージェントカレッジの前学長であり、心理学の専門家でもあるロッド・ウィルソン教授は怒りについてこのように説明します。「怒りの経験や背景は人によってさまざまであり、異なっている。激しく外に表現される怒りであっても、心の内側に押し込める、外面には出ない怒りでも、その背後にある、隠れているものを理解することで、上手く対応することができる。怒りに対する対処の最終目標は、生産的な怒りのサイクルを確立し、適正な感情表現をもって、他の人に対して、自分に対して、そして神さまに対して罪深い対応をしてしまうことを避けることである。(1)」怒りを通して、その人の何かが侵害されたことが明らかになります。大切なことは、先程の4つのうちの何がどのように侵害され、私(もしくは他の人)の怒りに繋がったのかを考えることです。それでは次回は「生産的な怒りのサイクル」について具体的に見ていきます。
                            (笠川路人)
(1) Glenn Taylor and Rod Wilson “Helping Angry People : A Short-term Structured Model for Pastoral Counselors” 53頁