詩篇を味わう2018年11月25日

「主のすばらしさを味わい、これを見つめよ。幸いなことよ。彼に身を避ける者は。」              詩篇34篇8節          

 詩篇は150もの詩から成る書物ですが、イスラエルの民が長い歴史の中で捧げて来た賛美と祈りの集大成とも言えます。詩篇には様々な人間の感情が表現され、苦難の中にあっても、神さまに対する力強い信仰と信頼が歌われています。時には、「わが神、わが神、どうして、私をお見捨てになったのですか。」(詩篇22篇1節)のように、著者は心の中の正直な思いを包み隠さずに神さまに叫んでいます。詩篇が多くの人に愛される理由は、素直な人間の心が表されていて、その賛美と祈りの言葉を通して、私たちの心を神さまの元へと近づけるからです。
 詩篇を味わうためには、まず詩篇の種類とテーマ(主題)を知ることから始まります。神さまへの賛美が歌われた「賛美の詩篇」があり、神さまの御業を讃える「感謝の詩篇」が存在します。逆に、「嘆きの詩篇」と呼ばれる詩篇は、目の前の苦難や悲しみの中で神さまに助けを叫び求める祈りです。そして、「知恵の詩篇」は、神さまの前に敬虔に生きることとは何かを歌っています。まずテーマを知ることができると、作者の置かれている状況と、神さまに対する賛美と祈りの言葉がどこに向かっていくのか(神さまに対してどのような応答をしていくのか)を理解することができます。詩篇のテーマを覚えながら、私たちの置かれている状況の中で神さまは何を語られているか、そして私たちはどのように応答すべきか、味わいながら読む(祈る)ことが大切です。ゴードン・フィーとダグラス・スチュワートは「聖書を正しく読むために」の中で、私たちが詩篇から受けることができる3つの恩恵についてまとめています 。一つ目は、詩篇はどのように礼拝すればよいかについての案内役になること、二つ目は、詩篇は神さまとの正直な関係をどのように持つべきか実演していること、そして三つ目は、詩篇は神さまが私たちにしてくださったことを熟考し、黙想することの重要性を教えてくれることです。詩篇を味わうことを通して、私たちの礼拝が豊かにされ、神さまとの関係が深まっていくことを願いたいと思います。(笠川路人)