伝道者の書-「ヘベル:むなしい、空(くう)」2016年07月31日

私はまた、あらゆる労苦とあらゆる仕事の成功を見た。それは人間同士のねたみにすぎない。これもまた、むなしく、風を追うようなものだ。
伝道者の書 4章4節

 前回から、伝道者の書の内容に注目するシリーズが始まりました。伝道者の書にある全体的なテーマや主張を探っていくために、3つの語に注目していきます。今回は、まず、そのうちの、「ヘベル:むなしい、空」に注目します。
 「ヘベル」は、伝道者の書で有名な「空の空。伝道者は言う。空の空。すべては空。」(1章2節)で「空」と訳されている言葉です。また、他の箇所では「むなしい」とも訳されています。この「ヘベル:むなしい、空」は伝道者の書で 38 回登場します。では、それらすべての箇所を確認するとどのような特徴が出てくるでしょうか。
 ここでは、紙面上の都合で、「ヘベル」について全体を通して分かる特徴が明確に現れている3箇所を紹介し、最後にまとめを記します。
「どんなに人が知恵と知識と才能をもって労苦しても、何の労苦もしなかった者に、自分の分け前を譲らなければならない。これもまた、むなしく、非常に悪いことだ。」(2章21節)
「人の子の結末と獣の結末とは同じ結末だ。これも死ねば、あれも死ぬ。両方とも同じ息を持っている。人は何も獣にまさっていない。すべてはむなしいからだ。」(3章19節)
「しかし、 むなしいことが地上で行われている。悪者の行いに対する報いを正しい人がその身に受け、正しい人の行いに対する報いを悪者がその身に受けることがある。これもまた、むなしい、と私は言いたい。」(8章14節)
 上記の箇所を含め、「ヘベル:むなしい、空」が登場する箇所をまとめると、あらゆる出来事がむなしいと言われていますが、その多くは、労苦や仕事、生き方に焦点が当てられているように思われます。つまり、労苦や生き方の結果は、すべてむなしいと言われているのではないでしょうか。あらゆる結果は、労苦やその人の状態に起因しないと述べられているのです。 (吉持尽主伝道師)

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://mikotoba.asablo.jp/blog/2016/07/31/8143415/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。