パウロの伝道から学ぶ2019年11月03日

これは、神を求めさせるためであって、もし探り求めることでもあるなら、神を見いだすこともあるのです。確かに、神は、私たちひとりひとりから遠く離れてはおられません。                使徒の働き 17章27節
                     
初代教会において、もっとも伝道した人は誰かと問うならば、使徒パウロの名前が一番に来るでしょう。バルナバによってアンテオケに連れて来られたパウロは、教師として活躍し、使徒の働き13章からは、バルナバと一緒に世界宣教に派遣されました。そして13章以降の使徒の働きの後半は、パウロの宣教の働きを中心に書かれています。パウロは、3回の伝道旅行を通して地中海世界、ローマ帝国の各地に教会を建て上げていきます。
パウロの伝道の特徴を挙げるならば、伝道の対象を明確にしていたことでしょう。各都市において、まず初めにユダヤ人の会堂を訪問して、聖書の基本的な理解と知識のある人々に福音を語っていきました。そして同時に、ユダヤ人以外のギリシヤ人、異邦人と呼ばれる人々にも福音を語りました。もちろん、聖書の前提知識のない人々に対しては、彼らの理解できる言葉で語りました。使徒の働き17章のアテネのアレオパゴスでの説教は、異教の文化の人々にとって分かりやすい言葉を持って、この世界を創造した唯一の神と救い主キリストについて説明しました。私たちも、伝道への思いを与えられたならば、伝道する相手のことをよく知ることはとても大切です。たとえ、身近な存在であっても、性格や育った環境、今必要に覚えている事(ニーズ)、そして興味あること、神さまやキリスト教に対する理解がどのようであるかを、よく知ることは重要です。そして、その人自身について知り、関係を深めていくためには、聞くことは欠かせません。対話や傾聴を通して、その人の人生の歩みを知っていく時に、心も開かれていきます。伝道は何を語るかを考える前に、何を聞き、何を知るかが大切です。それでは次回は、伝道の中で、イエスさまを信じる決心に導かれる「心の扉」という概念について説明します。                   (笠川路人)