聖書的世界観を理解する2018年10月28日

ここのユダヤ人は、テサロニケにいる者たちよりも良い人たちで、非常に熱心にみことばを聞き、はたしてそのとおりかどうかと毎日聖書を調べた。             使徒の働き 17章11節 

 聖書をより深く理解するために重要なことの1つ目は、まず「聖書的世界観」を知ることです。聖書は過去の書物ではなく、この世界の始まりから終わりまで、そして私たちが生きるこの時代についても語っています。その意味で、私たちは聖書のストーリーの中に生きていると言えるでしょう。もし、聖書の世界観を知らないままに、その内容を理解しようとすると、聖書の教えを矮小化してしまったり、先入観を抱えたままに読んでしまうことになります。例えば、「旧約聖書はイスラエルの民に対する教えで、私たちは新約聖書の教えを大切にしていたら良い。」という考えは、その極端なケースと言えるでしょう。
聖書的世界観を知るためには、まず聖書全体が4つの大きな枠組みで書かれていることを知る必要があります1。1.創造(創世記1-2章)、2.堕落(創世記3-11章)、3.救済(創世記12章~黙示録20章)、4.新しい創造(黙示録21章)の4つです。そして、私たちは、3の「救済」のペンテコステ以降の時代を生きています(クリス・ライトの図を参照)。大切なことは、まず聖書全体の枠組みを知った上で、聖書の各書、各箇所を読み、理解することです。「創造」のストーリーを十分に把握しないままに、人間の「罪」を強調するならば、神さまが被造物と人間に備えて下さっている素晴らしい価値や能力を否定したり、見落す可能性があります。「救済」についても、アブラハムの召命から始まるイスラエルの民のストーリーを無視するならば、十字架の贖いに含まれた意味や、救いを通して与えられる神さまからの祝福の大きさを十分に理解することは出来ないでしょう。聖書的世界観を持って、聖書を学んでいく時に、私たちは神さまが人類に与えて下さった偉大な救済の御業(みわざ)が、この世界に実現し、新しい創造に向かって進んでいることを知ることができます。そして私たちの人生も、神さまの偉大な救済のストーリーの一部分として召されていて、私たちを通して神さまの御業がなされていく恵みを体験することができることを覚えさせて頂きたいと思います。(笠川路人)
Wright, Christopher J. H. The Mission of God's People: A Biblical Theology of the Church's Mission.
Grand Rapids, Mich: Zondervan, 2010. 39p