良心の検討(examen)の祈り2018年09月30日

主よ。あなたは私を探り、私を知っておられます。     詩篇 139篇1節 

 1549年に来日したフランシスコ・ザビエルは、イエズス会の創設者の一人であり、自ら宣教師としてスペインから日本まで福音を伝えに来ました。当時、世界中に宣教師を派遣し、福音を宣べ伝えていったイエズス会の拡大と成長の秘訣は何でしょうか。その答えの一つにイエズス会の宣教師が習慣としていた、良心の検討(examen)の祈りがあげられます。この良心の検討の祈りは、宣教師たちの信仰を励まし、苦難の中においても持続的な宣教活動を進めて行くための力となりました。
 良心の検討の祈りについては、イエズス会のもう一人の創設者であるイグナチウス・ロヨラがその著作の中で説明しています。それは5つのプロセスから成る祈りです。
1. 想起(Recollection)神さまの臨在の中にいることを覚え、聖霊の助けを祈ります。
2. 感謝(Thanksgiving)一日の中で嬉しかったことや特別に思うことを感謝します。
3. 考査(Examination)一日を1時間単位で振り返ります。心の状態(考え、やる気、気持)や、発言した内容について、そして元気だった時、疲れを覚えた時を確認します。更に、1日の中で神さまの存在がどうであったか、神さまについての理解が深まった瞬間があったかを確認します。起こった出来事一つ一つの中で、神さまとどこで出会ったのか、そして、祈りとみことばが1日の歩みの中でどう働いたかについて振り返ります。最後に神さまの臨在を妨げるものが何であったかを確認します。
4. 悔い改め(Contrition)自分の心の中にある「罪」を気づかせてくださったことを感謝しつつ、神さまの愛に応えることが出来なかったことを悔い改めます。神の子どもに与えられるイエス・キリストの、罪に対する勝利と赦しを確認します。
5. 決心(Resolution)過去を振り返り、これからの未来を聖霊なる神さまの働きに委ねます。自分の弱さや足りなさからキリストにある喜びと希望に導いてくださる神さまに信頼します。
ロヨラの説明では、1日の中で3回(朝、昼、夜)、良心の検討の祈りを行い、その内容について前日、前々日、(もしくは前週、前々週)と比較し、継続的に罪や課題について取り扱います。現代に生きる私たちにとって、ロヨラの勧めの通りに1日3回、1時間単位での気持ちや行動を振り返ることは、かなり難しいことでしょう。しかし、1日の終わりの祈りの時間に、静まって自分の心の状態について振り返る時間を持ち、心の中にある課題や示された罪の解決を継続的に祈っていくことは、私たちの信仰の成長の励ましになることを覚えたいと思います。(笠川路人)

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