主の祈りの探求2018年10月07日

だから、こう祈りなさい。「天にいます私たちの父よ。御名があがめられますように。」              マタイの福音書 6章9節 

 5つの祈りの伝統のうち、4つの伝統について学びましたが、最後の一つは「主の祈り」の探求です。イエスさまが弟子たちに「こう祈りなさい」と勧められた主の祈りですが、キリスト教会は2000年の歴史を通して、その内容について探求してきました。「私たちの父よ」と呼ぶことができる神さまについて、そして「御国」とは何かについて、さらには「御心(みこころ)」がこの地上でどのように行われるのかについて、イエスさまが選ばれた一つ一つの言葉の意味を知り、思い巡らしながら祈ることは大切です。宗教改革者のマルティン・ルター(1483‐1546)は「簡単な祈りの手引き」(1535年)の中で、主の祈りを構成する6つの懇願それぞれに、その内容を含んだ短い祈りを手引きとして加えています。例えば、4つ目の懇願である、「我らの日用の糧を今日も与えたまえ」の祈りに続いて以下の内容を祈ります。「私たちの父であり、神である主よ、このはかなく、肉体を持つ人生にあなたの祝福を与えて下さい。慈悲深く、私たちに平安を与えて下さい。戦争や争いから私たちを守ってください。(中略)どの地域の町の人や農夫たちも、勤勉であり、お互いに誠実で思いやりを表すことが出来るように導いて下さい。天候を守り、良い収穫を与えて下さい。私の家と土地、妻と子どもたちを心から感謝します。どうか私が彼らを良く治め、支え、クリスチャンとして育むことができますように。私たちの人生を傷つけ被害を与えようとする破壊者(サタン)と彼に属するすべての邪悪な天使から私たちを守ってください。」1 ルターの祈りの中に、「日用の糧」という言葉から広がった、「平安や平和」、「誠実と思いやり」、「天候と収穫」、そして「家族、家庭」に対する祈りを見出すことができます。主の祈りの言葉の一つ一つを思い巡らしながら、イエスさまが教えてくださった祈りの広さと深さを体験させて頂きたいと思います。(笠川路人)
1. Martin Luther, “A Simple Way to Pray: For Master Peter, the Barber,” in Luther’s Works, vol. 43, 196.

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