祈祷書の祈り(集祷)2018年09月16日

主よ。私の祈りを耳に入れ、私の願いの声を心に留めてください。
詩篇86篇6節                  

教会は歴史を通して、公的にもしくは私的に祈るための言葉を「祈祷書」として整えてきました。祈祷書を通して、私たちは様々な状況においてどのように祈ったらいいかを学ぶことが出来ます。祈祷書の中で有名なものの一つに、英国国教会のカンタベリー大司教であったトマス・クランマー(1489-1556)が完成させた聖公会祈祷書が挙げられます。トマス・クランマーは祈祷書の元となる祈りの数々を「The Collects」(集祷集)としてまとめ、祈りについての形を示しました。集祷(Collect)とは、一つの形式を持った祈りで、一つの聖書のみことばを用いて、形式に沿ってバランスよく組み立てられる祈りです。一般的な集祷の流れですが、
1. 呼びかけ(神さまの御名を呼ぶ)
2. 教理(みことばの教え、神さまはどのような方か、何をしてくださったか)
3. 請願(私たちの現在の必要について)
4. 熱望(将来に対する希望について)
5. 頌栄(神さまの御名をほめたたえ、アーメンで終わる)
の5つの内容から成ります。例えば、詩篇1篇を集祷の形式で祈ると、「(1)全能なる神さま、(2)あなたの御子イエス・キリストは真に幸いな人です。(3)今日一日、私を力づけてください。罪人の道に歩むよりも、喜びを持ってイエス様の道を歩むことができますように。(4)それは私が水路のそばに植えられた木のように、イエス様の祝福を受けて、どんな時も実を結ぶことができますように。(5)イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。」集祷の特徴は「過去→現在→未来」の流れを持ち、テーマとなる一つのみことばからの教えと、教えに基づいた願いと希望について祈ります。祈祷書において集祷を祈ることによって、私たちはみことばからどのように祈るべきかを知ることができ、みことばの黙想から祈りを行う訓練を頂くことができます。それでは次回はフランシス・デ・セールスの瞑想の祈りについて学びます。(笠川路人)