教会に生きる(奉仕についての学び)2019年08月04日

キリストによって、からだ全体は、一つ一つの部分がその力量にふさわしく働く力により、また、備えられたあらゆる結び目によって、しっかりと組み合わされ、結び合わされ、成長して、愛のうちに建てられるのです。              エペソ人への手紙 4章16節                                    
 バルナバコース第10課では「奉仕」について学びます。教会の働きはさまざまな奉仕によって支えられていますが、奉仕は、クリスチャンにとっても、その成長に欠かせない大切な活動です。奉仕を通して教会生活に喜びが与えられ、教会での人間関係が祝福されていくことを体験することが出来ます。奉仕を通して、霊的な成長が与えられ、神さまの愛と恵みをさらに深く経験する機会を頂くことが出来ます。しかし、教会の奉仕の一つ一つがその働きにとって重要ですが、奉仕の内容によっては大きな負担を感じることもあり、奉仕することにストレスを感じてしまうこともあるでしょう。どうしたら、私たちは、パウロがエペソの教会に対して語った、「その力量にふさわしく働く力」を知り、教会の奉仕を通して、しっかりと組み合わされ、成長することができるでしょうか。第10課では、奉仕についての聖書的理解と教会の中の働きにおける実践について考えます。
 牧師家庭に育った私にとって、奉仕は常に身近なものでした。小学生の頃は、日曜日の第二礼拝の自転車整理の奉仕を仲間と一緒に担当し、中学生になってからは土曜日の週報折り(当時は手折りでした)、週報ボックスに入れる奉仕を担当していたことを思い出します。大学生になってからは、小学科の教師として奉仕させて頂き、4年間の小学科での奉仕を通して、多くの祝福と訓練を頂きました。就職と同時に通い始めた東京の教会では、2年目から高校科の奉仕を担当させて頂き、当時の高校生達(今は皆さん30代になりました)と楽しい時間を過ごさせて頂いたことを思い出します。もちろん、続かなかった奉仕もあったり、途中で辞めざるを得ない奉仕もありましたが、教会での様々な奉仕を通して、教会の中での人間関係が深められ、信仰の励ましを頂いてきたと思います。どうしたら、喜びを持って奉仕することができるか、自分の賜物(得意なこと)を生かすことができる奉仕を発見できるか。神さまが私たちに与えてくださった「奉仕」について理解を深め、御心を求めていくことができれば幸いです。次回は奉仕とは何かについて聖書から見ていきましょう。(笠川路人)

奉仕についての聖書的理解2019年08月11日

そこで、弟子たちは、それぞれの力に応じて、ユダヤに住んでいる兄弟たちに救援の物を送ることに決めた。       使徒の働き 11章29節                                    
 バルナバとパウロの働きによって成長したアンテオケ教会の弟子たちは、「キリスト者(クリスチャン)」という名で呼ばれるようになります。クリスチャンと呼ばれた彼らが、初めて行った奉仕のわざは、飢饉に苦しむユダヤの弟子たちに対して、救援物資を送ることでした。アンテオケ教会は、バルナバを派遣したエルサレム教会に対する感謝を忘れることはありませんでした。さらに、13章においては、聖霊の導きによって、リーダーであったパウロとバルナバを宣教旅行に遣わしますが、まさに「受けるよりも与えるほうが幸いである。」(使徒の働き20章35節)という主イエスの教えを、体現する教会でした。奉仕とは何か、それは、主イエスの救いを頂いた者が、感謝をもって与える行為であると言えます。
 アンテオケ教会では、「それぞれの力に応じて」、ユダヤの弟子に対する救援を行いました。エペソ人への手紙4章には、奉仕の目的はキリストのからだを建て上げるためであり(12節)、一つ一つの部分(私たち)が、その力量にふさわしく働く力によって、成長していくこと(16節)が説明されています。コリント人への手紙第一12章においては、教会に対して身体のたとえを用いながら、ひとりひとりは各器官であり(27節)、それぞれに大切な役割を持っていることが書かれています。これらの聖書のみことばから、奉仕とは、神さまが一人一人に与えてくださった能力や賜物、経験を用いて、キリストのからだである教会を建て上げて、成長するために行われるものであることが分かります。キリストのからだである教会の必要と、私たちの能力や賜物が合致し、感謝をもって時間や労力を捧げることができるのが奉仕であると言えます。パウロは、「あなたがたは、よりすぐれた賜物を熱心に求めなさい。また私は、さらにまさる道を示してあげましょう。」(コリント人への手紙第一12章31節)と語りましたが、奉仕することを通して、神さまから与えられた賜物を熱心に求めていくようにと励まされています。次回は、奉仕をするにあたって、どのように賜物を求めていくか(探していくか)について学びます。(笠川路人)

奉仕における賜物を求める2019年08月18日

あなたがたは、よりすぐれた賜物を熱心に求めなさい。また私は、さらにまさる道を示してあげましょう。      コリント人への手紙第一 12章31節                                    

 賜物(たまもの)とは何でしょうか。教会の中では、奉仕をする場面でよく使われる言葉ですが、原語(ギリシヤ語)は、χάρισμα(カリスマ)であり、「χάρις(カリス:恵み)」の派生語です。「天からの才能や素質」や「贈り物」という意味を持つことばで、神さまが一人一人に与えてくださっている能力や得意なことと言えるでしょう。大切なことは、賜物は神さまからの頂いたものであり、神さまの栄光を現わすために用いることが、神さまの御心であるということです。パウロがコリント人への手紙第一12章で説明している通り、頂いている賜物はそれぞれ異なり、奉仕や働きもいろいろな種類があります。ですから、まず自分の賜物が何であるかを理解し、賜物を用いる奉仕に携わることが、より良い、喜びにあふれる奉仕に繋がります。
 どうしたら私たちは神さまから頂いた賜物を発見することができるでしょうか。リック・ウォレン牧師は「あなたの賜物が輝く5つのステップ」という本の中で、賜物と奉仕の探求方法として5つの方法について説明しています。
1. 神さまから与えられた霊的賜物について考える
2. 喜んでしたいと思うこと、情熱を注げるものは何かを知る
3. 働きのための自分の能力を知る
4. 自分の性格に合った奉仕を選べるように、自分自身について知る
5. 過去の経験を振り返る(成功と失敗、痛みも含めて)
 賜物に対する理解が深まっていくにつれて、教会の中で必要とされている奉仕に対して、自分の賜物をどのように用いることができるのか、祈り求めていくことが重要です。私にとって、ワーシップ礼拝の働きは神さまから頂いた賜物と経験を用いさせて頂いている奉仕の一つです。小さい頃から教会の音楽に親しみ、中高時代は、J-Popよりも90年代のワーシップグループのCDをコレクションとして集め、聴いていたのを思い出します。教会がワーシップ形式の礼拝を始めた時に、神さまから頂いた賜物と今までの経験の全てが繋がって、用いられていることを覚えました。教会で必要とされる働きと、与えられた賜物がちょうど重なるところが、その人を神さまが用いて下さる場所です。次回は教会のビジョンと、ビジョンに基づく具体的な働きについて考えたいと思います。(笠川路人)

教会のビジョンと賜物の関係2019年08月25日

それから、イエスは、すべての町や村を巡って、会堂で教え、御国の福音を宣べ伝え、あらゆる病気、あらゆるわずらいをいやされた。
                 マタイの福音書 9章35節                                    
 前回まで奉仕における賜物について学びました。一人一人の賜物が生かされるのは教会の働きを支える奉仕ですが、教会がどのような働きを進めるかは、教会に与えられたビジョンに基づいていると言えます。茨木聖書教会は使徒の働きに登場するアンテオケ教会をモデルとするビジョンを持っていますが、そのビジョンを確認し、私たちの賜物が生かされる奉仕がどこにあるのかを考えることは大切なことです。
 茨木聖書教会の初代の日本人牧師である、吉持章師は「アンテオケ的センター教会を目指して」(1)の中で、教会の基本理念をマタイ9章35節とし、アンテオケ教会の理想的な教会像を目標に、以下の宣教ビジョンについて説明しています。「1.まず、各信徒の賜物が何であるかを見い出し、2.これを教育と訓練によって旺盛化し、3.全信徒が、その賜物にかなった奉仕の場へと任命され、派遣され、4.御体なる教会を組み上げ、5.世のあらゆる必要に対して、与える愛の手を差しのべ、6.キリストの花嫁なる教会を時代の中に輝かしめ、7.失われた人々に救いと慰めと祝福をもたらし、8.ただ神にのみ栄光を帰する教会たることを目的とする。」アンテオケ教会に倣って、神さまが一人一人に与えられた賜物から始めるという理念は、現在の教会の奉仕と働きに対する考え方の基礎になっていると言えるでしょう。
 教会35周年の2000年には、アンテオケ教会を目標とするビジョンに沿って、「アンテオケ2000プラン」が発表されました。その中では、アンテオケ教会を模範とすることが目的宣言文の中に明記され、アンテオケ教会に倣い、6つの働きを柱として教会形成を行うことが説明されています。今年(2019年)は、55周年の2020年に向けて、教会のビジョンを確認し、再確認、更新する年となります。次回から、「アンテオケ2000プラン」に書かれている「6つの働きに」ついて一つ一つを確認し、私たちに与えられた賜物が生きる、神さまに用いて頂く場所について考えさせて頂きましょう。(笠川路人)
(1) 茨木聖書教会創立20周年記念誌「ピスガ」13頁