聞くことについて2019年06月16日

愛する兄弟たち。あなたがたはそのことを知っているのです。しかし、だれでも、聞くには早く、語るにはおそく、怒るにはおそいようにしなさい。                ヤコブの手紙 1章19節                                 
 バルナバコース第9課では「聞くことについて」学びます。第5課から続いた人間関係に関する学びの実践として、教会の中において「聞くこと」とは何かを知った上で、具体的な方法について見ていきます。神学校において牧会(牧師としての仕事)の9割は聞くことであると教えられました。9割というと極端な感じがしますが、説教(メッセージ)の奉仕をする時も、家庭集会のような小グループでの学びの機会においても、「聞き手」が何を感じて、思っているかを知ることは大切です。良く話すためには、今まで聞いてきた経験や知識がとても大切になります。さらに聞くこと自体が、話を聞いてもらっている人を癒す行為であるとも言えます。デビッド・アウグスバーガー博士は聞くことの意味についてこのように説明します。「人を思いやる愛を持って聞くとき、苦しむ者、悩む者にいやしが与えられます。(中略)聞くことを通して人が癒されるという働きそのものは、数千年前も昔から行われていることです。しかも思いやりを持って聞いてくれる友から、今受け取ることのできる新しい体験です。(1)」
 親身になって、愛をもって聞いてくれる相手を見つけることは、この社会においては簡単なことではないと思います。カウンセリングという言葉が日常の中で身近になった現在、「良く聞いてもらう」ことに対する需要が高まっていることを感じます。だからこそ、教会の中で、愛と執り成しの祈りを持って親身に聞く「聞き手」が多く備えられることを願います。ヤコブは、「聞くには早く、語るにはおそく、怒るにはおそいようにしなさい」と「聞くこと」の重要性をクリスチャンに語りました。十分に聞くことができずに、一方的に話してしまうことも度々起こりますが、まず「聞く」ことを大切にする歩みをさせて頂きたいと思います。そして、「聞く」対象は教会の人間関係だけではなく、大切な家族や友人、そして職場や学校、地域で出会う人々です。よく聞くことは、その人との関係を深め、聞き手自身の信仰の成長にもつながります。次回は聞くことについての聖書的理解を見ていきましょう。(笠川路人)
(1)デビッド・アウグスバーガー著 棚瀬多喜雄訳 「親身に聞く」(すぐ書房、2000年)177頁

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